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筋肉を動かすためのエネルギーはどうやって作っているの?

 

みなさんは、筋肉が何をエネルギーにして動いているかご存知ですか?

 

今回は、スポーツ選手なら知っておきたい筋肉のことについて紹介します。

 

これを理解することで、「こういうことをすれば筋肉にとっていい影響を与えられるのか」といった知識を得ることができますので、少し難しい内容もあるかと思いますが、頑張って読んでみてください。

 

 

 

筋肉はどんなエネルギーを使って動いているの?

そもそもの話ですが、ラジコンを動かすためには電気エネルギーが必要なのと同じように、筋肉を動かすためにもエネルギーが必要となります

具体的には、ATP(Adenosine Tri-Phosphate:アデノシン3リン酸)という物質がADP(Adenosine Di-Phosphate:アデノシン2リン酸)に分解される時に生じるエネルギーで筋肉を動かしているのです。

つまりは、エネルギーを発生させるための燃料として、ATPが必要となるのです

しかしながら、ATPは少ししか体内に貯蔵することができません。そのため、体内では、ADPを再利用してATPを生成したり、新たにATPを生成しているのです。(SDGsですね。)

 

 

 

筋肉を動かす燃料(ATP)を作る方法は3パターン

では、どのようにしてADPからATPを再合成したり、ATPを生成しているのでしょうか。

実は、下記の3パターンあり、それぞれに特徴があります。

 

 

 

ATP-CP系:瞬発系(ハイパワー)

CP(クレアチンリン酸)を用いて、ADPからATPを再合成する一連の反応経路を「ATP-CP系」と呼びます。

 

CP(クレアチンリン酸)という言葉が出てきましたが、クレアチンリン酸はクレアチンとP(リン)が結合することで生成されます。CPを用いてどのようにADPからATPを再合成しているかというと、ADPがCPからPを貰うことでATPになります。そして、ATPはPを放出することでエネルギーを生み出し、ADPに戻ります。

 

しかしながら、CPの貯蔵量にも限りがあり、ATP-CP系の持続時間は、せいぜい8秒程度と言われています。持続時間は短いですが、ATP-CP系では、非常に大きなパワーを発揮することができます。

例えば、100m走のような、短時間で最大筋力を一気に使う場合に、ATP-CP系が使われます。

 

なお、このサイクルでは、代謝の過程で酸素を必要としません。酸素を必要としない代謝のことを、嫌気的代謝(けんきてきたいしゃ)と呼びます。

 

参考:1-3.筋肉を動かす3つのエネルギー供給系|DNS

 

 

また、「クレアチン」というサプリメントを摂取することで、ATP-CP系を最大限活用するやり方もあります。

こちらで紹介していますので、気になった方は参考にしてみてください。

 

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解糖系(乳酸系):筋持久系(ミドルパワー)

筋肉に貯蔵されているグリコーゲン(多糖類)がグルコース(単糖類)に分解され、グルコースがピルビン酸に分解する過程でATPを生成し、ピルビン酸が乳酸へと還元される一連の反応経路を「解糖系(乳酸系)」と呼びます。

 

食事によって得られたグルコース(単糖類)は、血液に乗って筋肉と肝臓に運ばれ、グリコーゲン(多糖類)となり貯蔵されます。筋肉に蓄えられたグリコーゲンは筋肉を動かすためのエネルギー源として、肝臓に蓄えられたグリコーゲンは血糖値の調整用として使われます。

余談ですが、筋肉にも肝臓にも送られなかった余り物のグルコースは、中性脂肪となって体に蓄えられます。

この過程でピルビン酸が生成され、通常通り酸素が十分に供給されていればミトコンドリアへ輸送されるのですが、エネルギー需要が急激に高まった(酸素の供給が間に合わない)状態において、ピルビン酸は乳酸へと還元されます。

 

筋肉に貯蔵されているグリコーゲンにもまた限りがあり、解糖系(乳酸系)の持続時間は、30~60秒程度と言われています。解糖系もまた酸素を必要としませんので、嫌気的代謝となります。

 

参考:1-3.筋肉を動かす3つのエネルギー供給系|DNS

 

 

有酸素系:持久系(エンデュランス

脂肪が分解してできた遊離脂肪酸や、ピルビン酸から生成されたアセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)が、ミトコンドリア内で複雑な過程を経てATPを生成する一連の反応経路を「有酸素系」と呼びます。

 

先ほどの解糖系(乳酸系)で出てきたピルビン酸がまた出てきましたね。実は、有酸素系は一部ですが、解糖系の延長にあるのです!

先ほど、「エネルギー需要が急激に高まった状態において、ピルビン酸は乳酸へと還元されます」と言いましたが、酸素が十分に供給されている場合において、ピルビン酸は乳酸へと還元されずに、ミトコンドリアに搬送されて別の方法でATPを生成する原料となるのです。

 

ザックリ説明しましたが、ザックリ過ぎたのでもう少し詳しく説明します。

遊離脂肪酸とピルビン酸がそれぞれミトコンドリアへ入り、それらを材料として、ミトコンドリアの中でアセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)が生成されます。アセチルCoAがクエン酸回路(TCA回路)と呼ばれる代謝経路の中で、NADH(nicotinamide adenine dinucleotide:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とFADH2(flavin adenine dinucleotide:フラビンアデニンジヌクレオチド)という物質を生成します。クエン酸回路で生成された、NADHとFADH2は、電子伝達系において脱水素化される過程でATPを生成します。

 

有酸素系は非常に複雑な過程の中でATPを生成するため多くの時間を要しますが、非常に効率が良いため、長時間にわたり大量にATPを作り続けることができます。ですが、複雑な過程を必要とするために、「ATP-CP系」「解糖系(乳酸系)」のように瞬間的なエネルギーを供給することはできません。有酸素系は代謝の過程で酸素を必要としますので、好気的代謝(こうきてきたいしゃ)となります。

 

参考:1-3.筋肉を動かす3つのエネルギー供給系|DNS

 

 

激しい運動をしている時、からだの中ではどのような順番でエネルギーを生成しているの?

さきほど、3パターンのATP(エネルギー)生成方法があることを勉強しましたが、実際には「どんな順番で行われているの?」「普段はどの方法で身体を動かしているの?」といったところを紹介します。

からだの中では、下記のような手順で、ATP生成方法が切り替わっています。

 

日常生活では、有酸素系で筋肉を動かしている。

活動の強度が少し上がると、有酸素系の代謝ではATP生成が追い付かなくなるため、グリコーゲンを原料にした解糖系(乳酸系)のATP生成が始まり、副産物として乳酸が生成される。このとき、有酸素系の代謝も並行して行われている。

さらに活動の強度が上がると、解糖系も追い付かなくなるため、クレアチンリン酸を原料としたATP-CP系のATP生成が始まる。このときも、有酸素系の代謝および解糖系の代謝は並行して行われている。

 

激しい運動をしている時のからだはこのようにして筋肉を動かすエネルギーを作っているのです。また、それぞれ持続時間が異なりますので、激しい運動をさらに続けると、下記のようになります。

 

クレアチンリン酸が枯渇し、ATP-CP系が終了を迎える。

解糖系と有酸素系でATPを生成しているが、1分もすればグリコーゲンが枯渇するので、解糖系が終了を迎える。

有酸素系でATPを生成するしかなくなるが、生成には時間がかかるため、徐々(じょじょ)に筋肉が動かせなくなる。

 

 

400mを走っている時は、筋肉のエネルギー(ATP)はどうなっているの?

 

陸上競技の400mで考えてみましょう。私が400mを走る時の感覚をもとにしていますので、参考程度に見てください。

 

400mを走り始めた時は、ATP-CP系を一気に使い果たすわけではなく、ATP-CP系と解糖系を併用していますので、200mあたりまでは足が重くなる感覚も無く、スピード感を持って走ることができます。200mを過ぎたあたりからクレアチンリン酸が枯渇してATP-CP系が終了しますので、解糖系でATPを生成します。すると、解糖系はATP-CP系に比べてATPの生成スピードは遅くなりますので、筋肉に送るATPの量が減ってしまいます。

つまりは、筋肉を収縮できなくなってきますので、足が重くなる感覚が出てきます。

さらに走り続けて300mあたりまで行くと、ATP不足が顕著(けんちょ)に現れてきますので、更に筋肉を収縮できなくなります。筋肉を収縮できないということは、足を上げることも、後ろへ蹴りだすこともできなくなります。

 

これが何を意味するかというと、走る動作において、「太ももが上がらない⇒ブレーキ動作」となりますので、400mの終盤(メインストレート)は、地獄です。

 

一部の界隈(かいわい)でしか使われていない言葉ですが、この400mの終盤の失速のことを「黄金のタレ」と呼びます。

 

 

400mの終盤でできるだけ減速せずに走り切る方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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有酸素運動無酸素運動の違い

みなさんは、「有酸素運動」と「無酸素運動」の違いを考えたことはありますでしょうか?

私は「呼吸で酸素を吸収している量の違いかな~」と何も調べず勝手に思っていましたが、そうじゃないみたいです。(^^;)

 

実は、有酸素運動無酸素運動の違いは、ATPを再合成または生成する時に、「酸素を必要とする」or「酸素を必要としない」の違いなのです。

 

表にまとめてみました。

 

  ATP生成方法 燃料 持続時間 特徴
無酸素 ATP-CP系 クレアチンリン酸 約8秒 瞬発系
無酸素 解糖系(乳酸系) 糖質(グリコーゲン) 30~60秒 筋持久系
有酸素 有酸素系 糖質・脂質 長時間 持久系

 

 

大学時代に保健の授業で、教授が「400mは無酸素運動だよ」と言っており、「?。いやいやそんなわけないでしょ」と思っていましたが、400mであれば50秒程度なので、解糖系(乳酸系)つまりは無酸素運動ということだったのですね。

 

800mで2分切ってくる人とか、バケモノやん…(;゚Д゚)

 

 

ダイエットは有酸素運動をすべし!

細かいところまで読んでいただけた方はなんとなく気付いたかもしれませんが、「脂肪」をエネルギー源としているのは有酸素運動である「有酸素系の代謝」だけなのです!

ですので、ダイエットで意識すべきは、死ぬほど走るとか、死ぬほど負荷の高い筋トレをすることではなく、「そこそこの負荷を長時間継続すること」なのです!

 

 

 

あとがき

いかがでしたでしょうか。

人間のカラダとは不思議なもので、自分で意識しないでも勝手にエネルギーを生成してくれるのですね。

 

勝手にとは言ってもエネルギーの原材料となる栄養素は必要です。サプリメント等で栄養を摂取してもよいですが、バランスのよい食事でじゅうぶん栄養補給できますので、あまりサプリメントにお金をかけなくてもインターハイには出場できます。

 

他にもスポーツに関する情報を発信していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

最後までご覧くださいましてありがとうございました。