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安全運転管理者制度ってなに?だれが対象?罰則はあるの?

ここ最近、道路交通法の法改正が行われまして、アルコールチェックの義務化というものが追加されました。これらの義務を負うのは安全運転管理者と呼ばれる方々なのですが、「そもそも安全運転管理者ってなに?」と思う方が多いかと思います。

そこで今回は、安全運転管理者制度について紹介できればと思います。

安全運転管理者にはさまざまな業務が割り当てられていますが、安全運転管理者等を選任する必要の無い場合でも、これらを参考にすることで高いレベルの安全管理を行うことができます。ですので、安全運転管理者制度には関係ないよという方もぜひ一度目を通してみると、「こういった管理が必要なのか」という発見が得られるかもしれません。

 

 

安全運転管理者制度ってなに?

安全運転管理者制度とは、昭和40年6月から始まった、交通安全のための制度です。会社が大きくなると、安全運転を徹底させるのは難しくなります。そこで、安全運転管理者として担当者を選任させ、具体的にチェック項目を指示することで、交通安全を徹底させているのです。

 

安全運転管理者はなにをする人?

安全運転管理者の業務は、「道交法施行規則 第九条の十」に記載されていますが、おおまかにまとめると、下の9つが安全運転管理者の業務です。

安全運転管理者の業務

① 運転者に適性や技能や知識があるか把握する
② 法を留意した運航計画の作成
③ 長距離や夜間の運転が伴う際に安全が維持できない可能性がある場合は、あらかじめ代わりの運転者を配置する
④ 異常気象などにより安全が維持できない可能性がある場合は、安全確保に必要な指示や措置を講じる
⑤ 点呼等で日常点検や体調の確認を行い、が安全運転のための指示を与える
⑥ 目視およびアルコール検知器で酒気帯びの有無を確認する
⑦ ⑥の内容を記録し1年間保存し、アルコール検知器は常に使用できる状態を保つ
⑧ 運転者名、日時、距離その他運転の状況確認に必要な項目を、日誌として運転終了時に運転者に記録させる
⑨ 安全な運転を確保するために必要な事がらについて指導を行う

 

全ての事業所が安全運転管理者等を選任しなければいけないの?

全ての運転手や全ての事業所が安全運転管理者等を選任しなければいけないわけではありません。いくつか条件がありますので、順に紹介していきます。

安全運転管理者等と書いていますが、はっきり書くと、「安全運転管理者」「副安全運転管理者」の2つがありますので、両方ご説明します。こちらの内容は、「道交法施行規則 第九条の八」「道交法施行規則 第九条の十一」に記載されていますが、おおまかにまとめると、以下の通りです。

 

安全運転管理者の選任が必要な条件

ある一定の条件を満たすと、安全運転管理者の選任が必要となります。その条件とは、下記のとおりです。

安全運転管理者の選任が必要な条件

・乗車定員11人以上の自動車を保有している
・自動車を5台以上保有している
 ※大型自動二輪車or普通自動二輪車は0.5台として計算。

これらの条件に当てはまる事業所は、安全運転管理者の選任が必要となります。

 

副安全運転管理者の選任が必要な条件と選任する人数

さらに大きな事業所になると、安全運転管理者の他に、副安全運転管理者の選任が必要になります。その条件とは、下記のとおりです。

副安全運転管理者の選任が必要な条件と人数

・自動車を20台以上40台未満保有している場合、1人選任
・以降、20台毎に1人
大型自動二輪車or普通自動二輪車は0.5台として計算。

 

リース業者やレンタル業者は安全運転管理者等の選任が不要

リース業者やレンタル業者のような、車両貸出しを行っている事業所については、安全運転管理者等の選任が不要となっております。

 

自動車運転代行業者は自動車の台数に関わらず安全運転管理者等の選任が必要

自動車運転代行業者については、上で記載した条件に関わらず、全ての事業所において安全運転管理者の選任が必要となります。また、車両10台毎に副安全運転管理者の選任が必要となります。

安全運転管理者等の選任が必要な条件を挙げましたが、たとえ安全運転管理者等の選任が不要な事業所だったとしても、同じように運航計画や日誌を記録することで、高いレベルの安全管理を行うことができます

 

安全運転管理者等になるためには?

安全運転管理者等になるためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。安全運転管理者等になるための要件は、「道交法施行規則 第九条の九」に記載されていますが、おおまかにまとめると、以下の通りです。

安全運転管理者になるための要件

年齢 20歳以上(副安全運転管理者が置かれる場合は、30歳以上)
理経験等 ●自動車の運転管理に関し2年以上の実務経験のある者
公安委員会の教習を修了し1年以上の実務経験のある者
●上記と同等以上の能力があると公安委員会が認定した者
違反・事故等の前歴が無いこと ●過去2年以内に、公安委員会より解任命令を受けたことの無い者
●過去2年以内に、次の違反行為をしたことの無い者
・ひき逃げ、酒気帯び運転、酒酔い運転、麻薬等運転、無免許運転、妨害運転
・飲酒運転に関し、車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、同乗する行為
酒気帯び運転、酒酔い運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反の下命/容認
・自動車の使用制限命令違反

副安全運転管理者になるための要件

年齢 20歳以上
理経験等 ・自動車の運転管理に関し1年以上の実務経験のある者
・自動車の運転経験が3年以上の者
・上記と同等以上の能力があると公安委員会が認定した者
違反・事故等の前歴が無いこと ●過去2年以内に、公安委員会より解任命令を受けたことの無い者
●過去2年以内に、次の違反行為をしたことの無い者
・ひき逃げ、酒気帯び運転、酒酔い運転、麻薬等運転、無免許運転、妨害運転
・飲酒運転に関し、車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、同乗する行為
酒気帯び運転、酒酔い運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反の下命/容認
・自動車の使用制限命令違反

 

なにか罰則はあるの?

安全運転管理者等が必要な業務を行っていなかったとしても、この時点では特に罰則を受けることはありません。ただし、安全運転管理者等を選任していなかった場合や、届け出をしていなかった場合、公安委員会の命令に従わなかった場合などに罰則が与えられます。

ザックリまとめると、下記の罰則が与えられます。

罰則

・安全運転管理者等を選任しなかった場合 50万円以下の罰金
公安委員会による安全運転管理者等の解任命令に従わなかった場合 50万円以下の罰金
・安全運転管理者等の届出をしなかった場合 5万円以下の罰金

下記に条文を引用して説明していますので、詳細が気になる方は頑張って読んでみてください。

道路交通法 第百十九条の二では、下記のように記載されています。

第七十四条の三(安全運転管理者等)第一項若しくは第四項の規定に違反し、又は同条第六項若しくは第八項の規定による公安委員会の命令に従わなかつたときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
引用:道路交通法 第百十九条の二|e-Gov法令検索

 

では、第七十四条の三の第一、四、六、八項はどういった内容なのでしょう。また、第六項で出てくる第二項はどういった内容なのでしょう。

自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の規定による貨物軽自動車運送事業を経営する者を除く。以下同じ。)、貨物利用運送事業法の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者及び道路運送法第七十九条の規定による登録を受けた者を除く。以下この条において同じ。)は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第一項|e-Gov法令検索

 

自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため、内閣府令で定める台数以上の自動車を使用する本拠ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、内閣府令で定めるところにより、副安全運転管理者を選任しなければならない。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第四項|e-Gov法令検索

 

公安委員会は、安全運転管理者等が第一項若しくは第四項の内閣府令で定める要件を備えないこととなつたとき、又は安全運転管理者が第二項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、当該安全運転管理者等の解任を命ずることができる。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第六項|e-Gov法令検索

 

安全運転管理者は、自動車の安全な運転を確保するために必要な当該使用者の業務に従事する運転者に対して行う交通安全教育その他自動車の安全な運転に必要な業務(自動車の装置の整備に関する業務を除く。第七十五条の二の二第一項において同じ。)で内閣府令で定めるものを行わなければならない。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第二項|e-Gov法令検索

 

公安委員会は、自動車の使用者が前項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第八項|e-Gov法令検索

これらを踏まえて道路交通法 第百十九条の二をまとめると、「安全運転管理者や副安全運転管理者を任命しなかった場合や、自動車の安全な運転に必要な業務を行わなかったために公安委員会から安全運転管理者等の解任命令が出たが従わなかった場合などに、50万円以下の罰金」ということです。

 

道路交通法 第百二十条 第二項 第三号では、下記のように記載されています。

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五万円以下の罰金に処する。
三 第七十四条の三(安全運転管理者等)第五項の規定に違反したとき。
引用:道路交通法 第百二十条 第二項 第三号|e-Gov法令検索

 

自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
引用:道路交通法 第七十四条の三 第五項|e-Gov法令検索

つまり、道路交通法 第百二十条 第二項 第三号をまとめると、「安全運転管理者や副安全運転管理者を選任または解任した日から15日以内に公安委員会に届け出なければ5万円以下の罰金」ということです。

 

2022年4月より新たにアルコールチェックが義務化

2022年4月より、新たにアルコールチェックの義務化が新設されました。重要な項目ですので、しっかりと理解し管理を徹底しましょう。

こちらで詳しく説明していますので、まだご存じない方は、しっかりと把握しましょう。

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あとがき

いかがでしたでしょうか。

一般の方々にはあまり馴染みのない内容ですが、大きな会社を持つということは、さまざまな責任が伴うということですね。

このような施策は一見わずらわしく思うかもしれませんが、日々多くの方が交通事故で命を落とされています。交通事故で心を痛めた多くの方の願いが叶ってこのように整備されてきています。

以前に比べ、交通事故の数は減ってはいますが、まだまだ多いです。気を引き締め直して、安全運転を心がけましょう。

 

最後までご覧くださいましてありがとうございました。