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なぜアルコール消毒が重要なの?アルコール消毒はすべての菌に対して有効なの?

消毒

 

2020年からコロナウイルス(COVID-19)が蔓延し、初めて今までの日常が日常ではなくなる経験をしました。コンビニ・スーパー・レストランなど、どこに行ってもアルコール消毒するよう注意書きがしてあるのもその1つですね。

今回は、「アルコール消毒がなぜ重要なのか?」「すべての菌に対して有効なのか?」を順を追って分かりやすく説明します。

前段階として、私は大学で細胞培養の研究をしていた関係上、アルコール消毒に関する知識は一般人よりもあります。それを踏まえて今回の記事を読んでいただければ幸いです。

 

 

 

「除菌」「殺菌」「滅菌」の違い

アルコール消毒をする前にしなければいけないのが、「除菌」「殺菌」「滅菌」の違いについての説明です。

「除菌」「殺菌」「滅菌」の違いを聞かれて答えられる人は少ないかと思います。私自身も、大学で勉強するまでは、「同じような意味でしょ?」と思っていましたが、細胞培養や創薬研究などをする人からすると、まったく異なる意味を持ちます。

 

除菌

なんとなくイメージがつくかと思いますが、除菌は菌の数を減らすことです。薬機法の対象外で「殺菌」という表現が使えない医薬品・医薬部外品以外の製品に記されていることが多いです。

例えば、洗剤・漂白剤・ファブリーズなどがこれに当てはまります。

実のところ、「除菌」は意味するところが曖昧なため、学術的な専門用語としてはあまり使われていない言葉です。そのため、さまざまな団体が各自で「除菌」という言葉を定義づけています。

 

殺菌

文字通り「菌を殺す」という意味ですが、すべての菌を殺すことではありません。どれか1つの菌だけでも死滅させることができれば、「殺菌」といえます。死滅させる菌の数に明確な定義はないため、殺菌と書いてあれば何でもよいというわけではないのです。

例えば、病院で処方されるものであったり、ドラッグストアで購入できるものなど、厚生労働省からの認可を受けた商品にのみ表示されています。

この「殺菌」という表現は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性も確保等に関する法律」(薬機法)上の用語で、「殺菌」と表示ができるものは医薬品や医薬部外品のみと定められています。そのため、勝手に「殺菌」と表示して商品を販売すると、罰則を受けることになりますのでご注意ください。医薬品ではない商品に「殺菌」と記載することは許されませんし、もしそういった商品があれば、それは購入してはいけません。

 

滅菌

滅菌とは、有害・無害に関わらず、微生物を限りなく0に近づけることを言います。国際基準である無菌性保証水準(Sterility Assurance Level :SAL)では、「菌が限りなく0に近い」ことを10-6個とし、滅菌後に生育可能な1個の微生物が存在する確率で表しています。これは、1,000,000個の菌を滅菌したときに生存する菌が1個しかないという水準を意味します。

 

 

アルコール消毒はなぜ重要?

アルコール消毒は、「除菌」「殺菌」「滅菌」でいうと殺菌に当たります。つまりは、全ての菌を殺すことはできないのです。それなのになぜコロナでアルコール消毒が叫ばれるのでしょうか?

今では、当たり前にアルコール消毒をする習慣が浸透していますが、実は、コロナが流行り始めた頃は、コロナウイルスにアルコール消毒が効くのかどうか明らかにはなっておりませんでした。先ほども説明した通り、アルコール消毒は殺菌に当たるので、全ての菌に効果が発揮されるわけではないのです。そのため、初めはあまり大きな声で「アルコール消毒をしよう」とは言われていませんでした。ですが、少したった後、コロナウイルスに対してアルコール消毒は効果があることが分かり、そこからアルコールの買い占めや転売が加速していきました。

もし、アルコール消毒がコロナウイルスに対して無効であったなら、今頃は更に悲惨な状況になっていたのではないでしょうか…。

 

菌を死滅させるための方法

菌を死滅させるための方法は、主に3つです。

 

アルコール消毒

先ほども説明した通り、アルコール消毒は、「除菌」「殺菌」「滅菌」でいうと殺菌に当たります。アルコール消毒と呼んでいますが、ここで言うアルコール消毒の主成分は、主にエタノールを指しています。そして、てきとうなエタノールではなく、WHOでは60~80%の濃度のエタノールを推奨しています。(日本薬局方では76.9~81.4%)

(大学で細胞培養をしていた時は、75%エタノールを使用していました。)

なぜ60~80%のエタノールなのでしょうか?
まずはこちらのイラストをご覧ください。

 

黄色ブドウ球菌を死滅させるのに要する時間とエタノール濃度の関係

引用元:洗浄除菌の科学と技術 高野光男、横山理雄、西野甫 編(サイエンスフォーラム)第1部 第2章 第3節 食品製造環境分野におけるアルコール利用とその除菌メカニズム[古田太郎]よりPrice.P.B.:Arch.Surg.,38,528-542(1938)

 

このイラストを見ると分かるように、60~80%が菌を殺すのに最もよい濃度なのです。これを知らない方は、コロナウイルスが蔓延している時に、濃度などは気にも留めず、アルコール消毒と書かれた商品を買い占めていたのではないでしょうか。

全く効果が無いとは言いませんが、このイラストを見ると分かるように、さほど期待できる効果は得られません…。

例えば、エタノールを30%まで薄めてしまうと、手に吹きかけてから35分ほど経たないと、菌が死滅しません…。

このことをご存じなかった方は、今後注意しましょう。

 

熱処理

熱処理は、「除菌」「殺菌」「滅菌」でいうと滅菌に当たります。菌は有機物のため、熱に対して弱いことが特徴です。

熱に対して弱いとは言ったものの、夏の暑さ程度では、菌は死滅しません…。菌を死滅させるための要素として、「温度」「処理時間」の2つが重要となります。

例えば、食中毒のサルモネラ菌は65℃で3分間、病原大腸菌は75℃で1分間以上加熱することで死滅します。

熱処理による滅菌の最も一般的な手法として「オートクレーブ」と呼ばれるものがあります。※食べ物ではありません。オートクレーブ処理は、加熱と圧力による飽和水蒸気で、通常121℃で15分間処理することで、菌を死滅させます。オートクレーブは、水蒸気で滅菌するため、滅菌したいものがビショビショになってしまいます。(最終的には自然乾燥させます。)そのため、ビショビショになるのを避けたい場合は、「乾熱滅菌」という手法で滅菌します。乾熱滅菌は、電気オーブンを用いた方法です。160~170℃であれば120分間、170℃~180℃であれば60分間で菌を死滅させます。

 

紫外線(UV)

紫外線は、「除菌」「殺菌」「滅菌」でいうと滅菌に当たります。紫外線とは、可視光よりも波長の短い光のことです。紫外線が細菌やウイルスのDNAに吸収されると、DNAの破壊が進み、増殖機能を失うことで死滅します。洗濯物を外に干すのは、太陽から届く紫外線の滅菌効果を利用しているのです。

紫外線には3つの種類があり、波長の長いほうからUV-A(315~400nm)、UV-B(280~315nm)、UV-C(100~280nm)に分けられます。その中でも、波長が短いUV-Cは、滅菌作用が最も強いです。ただし、太陽から地表に届く前にオゾン層によって遮られるため、通常では地表には届きません。

紫外線による滅菌は光を当てるだけですので、対象物をそのままの形で菌を死滅させることができます。また、薬品等を使わないため環境への影響も少ないというメリットもあります。

 

 

おすすめのアルコール消毒商品

 

 

あとがき

いかがでしたでしょうか。

アルコール消毒の重要性が理解できたとともに、濃度が薄ければ効果は期待できないということも理解していただけましたでしょうか。

アルコール消毒をシュッとしたときに、75%ほどの濃度であればすぐに揮発(水分が飛ぶ)します。ですが、コスト削減のために水で薄めていたりすると、手に水分が残ります…。少し気にして過ごしてみると、「あのお店は水で薄めてる」「あのお店はちゃんと濃い濃度のエタノールを使っている」などが見えてきて面白いですよ。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。