単位と聞くと「卒業するのに単位が足りない~」なんてことを思う方もいるかもしれませんが、ここで言う単位は、「m」メートルや「s」秒などの、数字の後ろに付くあれのことです。この単位というものは、実はとっても重要な役割を担っているのです。そこで今回は、この「国際単位系」とはなんぞや?というところをご説明します。
本記事は基本的に、国際度量衡局(こくさいどりょうこうきょく、略称:BIPM、Bureau International des Poids et Mesures)のサイトを参考にして書かれています。
参考:Bureau International des Poids et Mesures
国際単位系(SI単位系)とは?
国際単位系とは、国際単位系を維持するために開催される国際度量衡総会(こくさいどりょうこうそうかい、略称:CGPM、General Conference of Weights and Measures)にて規定された単位系です。国際単位系を英語で書くと「International System of Units」ですので、これを略して「SI単位系」と呼ばれることもあります。
日本はむかし、尺貫法(しゃっかんほう)が使われていましたが、国際的な規格に合わせるべく、1951年(昭和26年)からメートル法(SI単位系etc.)の使用が義務付けられました。ちなみに、1959年1月1日以降、取引や証明に尺貫法を用いた場合には、50万円以下の罰金が科せられます。例外があり、物差しなどは認められているため、違反にはなりません。
7つのSI基本単位
2022年12月現在、SI基本単位は7つあります。この7つの組合せで、さまざまな量の単位を表現しているのです。
SI基本単位 | |||
---|---|---|---|
量 | 単位 | 記号 | |
時間 | 秒 | second | s |
長さ | メートル | metre | m |
質量 | キログラム | kilogram | kg |
電流 | アンペア | ampere | A |
熱力学温度 | ケルビン | kelvin | K |
物質量 | モル | mole | mol |
光度 | カンデラ | candela | cd |
SI基本単位の定義
先ほど挙げました7つのSI基本単位には、それぞれ定義があります。
SI基本単位は、立ち上げ当初から何度か変更されており、2019年の改訂でようやく人工物でないものでの定義づけがなされました。例えば、1kgの定義ですが、以前はキログラム原器と呼ばれる、1kgぴったりに造られた白金・イリジウム合金を1kgの定義としていました。ですが、これは人の手によって造られたものであり、半永久的に変化しないとは言い切れません。そのため、人工物でないものでの定義づけが必要だったのです。
それでは本題に戻りましょう。SI基本単位の定義はこちらです。
SI基本単位 | 定義 |
---|---|
秒 | セシウム133原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数であるセシウム周波数(ΔvCs)の固定値を単位Hzで表すと9,192,631,770となり、これをs-1とすることで定義されています。 |
メートル | 真空中の光速cの値をm s-1の単位で表すと299,792,458となる。 |
キログラム | プランク定数hの値をkg m2 s-1に等しい単位J sで表すと6.62607015×10-34となる。 |
アンペア | 素電荷eの値を単位Cで表すと1.602176634×10-19となり、A sと等しい。 |
ケルビン | ボルツマン定数kの値をJ K-1の単位で表すと1.380649×10-23となり、kg m2s-2 K-1と等しい。 |
モル | 1モルにはちょうど6.02214076×1023個の素粒子が含まれる。この数は、単位mol-1で表したときのアボガドロ定数NAの値であり、アボガドロ数と呼ばれる。ある系の物質量(記号n)は、指定された素粒子の数の尺度である。素粒子は、原子、分子、イオン、電子、その他の粒子、または粒子の集合体のいずれであってもよい。 |
カンデラ | 周波数540×1012Hzの単色放射の視感度Kcdの値を683とし、単位lm W-1で表すことで定義される。※視感度:人間の目が最も強く感じる周波数。約555nm(ナノメートル) |
SI組立単位
SI組立単位は、国際単位系において、「べき乗の積」と定義されています。SI組立単位には、固有の名称をもつSI単位が22個あり、7つのSI基本単位と合わせて29個のSI単位がベースとなっています。他のSI単位は全て、この29個のSI単位の組み合わせと、SI接頭語との組み合わせで成り立っています。
SI組立単位についてはこちらで詳しく説明していますので、ぜひ見てみてください。
SI接頭語
さきほど、サラッと「SI接頭語」という言葉が出てきましたが、SI接頭語とは、国際単位系 (SI単位系) において、SI単位の十進の倍量・分量単位を表すために、SI単位の前に付けられる接頭語です。
SI接頭語についてはこちらで詳しく説明していますので、ぜひ見てみてください。
全世界共通なの?
「国際」単位系と呼ばれているくらいなので、全ての国で有効なのか?と思うかもしれませんが、そういうわけでもないのです。実際には、メートル条約に加盟している国で有効ということになります。2023年2月現在、64の加盟国と、36の準加盟国があります。参考:Member States|Bureau International des Poids et Mesures
ただし、加盟の有無に関わらずほとんどの国で問題無く使用できます。先ほどご説明した通り、日本では尺貫法が禁止されていますが、アメリカではアメリカで昔から使われていた単位を使っても良いというルールになっています。国によってまちまちですね。
国際単位系の他には何かある?
国際単位系はメートル法を発展・洗練させたものです。このメートル法に類似したものでいうと、「工学単位系(重力単位系)」「CGS単位系」などがあります。これらは似ているものの、分類としては全く別のものですので、しっかりと区別しましょう。
あとがき
いかがでしたでしょうか。単位というのはとっても重要で、単位を見ればその数値が何の値かが、一目瞭然なのです。例えば、「10kg」と書かれていれば、100人中100人が重さを表しているんだなと思うはずです。しかしながら、ダンベルに「10」と書かれているだけでは、なんとなく分からなくもないですが、「なにかの識別番号?」と思う方もいるかもしれません。
このように、数字の後ろに単位が書かれているだけで、日本人でも海外の方でも、その単位を知っている方であれば誰しもが同じように捉えることができるのです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。